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脚本術を知ると、より物語を楽しめる【三幕構成】

僕は物語を楽しむことが趣味で、もう10年以上前から「もっともっと物語を楽しむためにはどうしたらいいんだろう?」と考え続けている。そこで辿り着いた結論の一つが、「脚本術を学ぶ」というものだった。

なぜその結論に達したかというと、何ごとも術を知っているとより深く楽しめるからだ。たとえばスポーツは、経験したことがなくても観戦して楽しむことはもちろんできる。しかし自分が経験したスポーツに対してはより深く楽しめたりする。

一例を挙げると、僕は中学までサッカーをしており、基本的な技術は一通り練習した。だからこそプロの技術1つ1つの凄さがよくわかり、地味なシーン1つ1つを堪能することができて、90分間をフルに楽しめる。

それと同じで、物語だって術を知っているとより楽しめるに違いないと考えたわけだ。

以来、脚本術の本を色々と読んだり、実際に脚本術に沿って物語を考察してみたりした。その結果、脚本術を知ってることで確かに物語をより楽しめることを体感した。

なのでこの記事では、そんな脚本術を僕なりに整理してみようと思う。僕は実際に脚本を書いたことはない消費者なので、あまり深入りするとボロが出る。だからあくまでも基礎の基礎だけを簡潔に整理する。

しかし基礎の基礎だけでも押さえておけば、物語を楽しむ側としては十分だ。物語をもっと楽しみたいと思っている僕のような人にサクッと読んでもらい、少しでも役に立てればなと思っている。

ちなみに今から書く内容は、複数の本で学んだ内容を土台としつつ、僕なりの解釈がふんだんに含まれている。なので微妙に本と違うことを言ってる部分もあるかもしれないけど、僕の頭の中ではこんな内容で整理されてるってことでご容赦ください。

物語=キャラクター+ストーリー

まず大前提として、物語とは一体何なのかをざっくり表現すると、

誰かが目的を達成するために起こした行動を追ったもの

と言える。で、

誰か=キャラクター

行動の連なり=ストーリー

という名称で、それぞれに対して脚本術の基礎を今から整理していく。

キャラクター:行動哲学を押さえる

キャラクター一人一人には行動哲学がある。現実の人間と同じだ。

行動哲学というと難しい響きがあるのでかみ砕くと、「何を大切にして行動しているのか?」という意味で理解すると分かりやすい。

ここからは例として『ターミネーター2』を使う。知名度が高いし、例として分かりやすいからだ。

メインキャラの行動哲学を整理すると以下な感じになる。

・T800(味方のターミネーター):ジョンを守る

・サラ:ジョンを守る

・ジョン:サラを守る

ジョンだけが「サラを守る」という行動哲学なのがポイント。理屈で考えるとジョンの場合は「自分が生き残る」になるはずだけど、それだと物語としてつまらない。

ジョンは、自分が信じてあげられず、精神病棟に隔離されている母親サラのためなら自分の命を危険にさらす。だからサラを精神病棟へ助けにいったり、ダイソン殺しを阻止しに向かったりする。その行動でT1000に居場所を突き止められて物語が緊迫感を増していくものの、ジョンの行動には説得力があり応援したくなる。だからターミネーター2は退屈するシーンが一切ない名作に仕上がっている。

こういう行動哲学を理解することでキャラクターの言動に説得力が生まれ、見ている側も感情移入がしやすいし自然と応援してしまう。

ストーリー:三幕構成で流れを整理する

続いてストーリーについて。ストーリーとは前述の通り「キャラクターの行動の連なり」のこと。

行動の連なりは、無意識に追っていくと全体の流れが見えにくかったりする。長いストーリーだと特に、「なんで今こういう行動になってるんだっけ?」みたいな状態に陥る。ストーリーはどんどん流れていってしまうから仕方ない。

こういう状態を防ぎ、ストーリー全体を俯瞰して眺められるようにするために、三幕構成というものでストーリーを整理するのがとても便利だ。

三幕構成とはその名の通り、三つの幕で構成された物語という意味になる。

三つの幕それぞれの役割は以下の通り。

第一幕:キャラの行動哲学、世界観、物語のゴールを伝える

第二幕:物語のゴールに対して様々な障害が降りかかる

第三幕:物語のゴールに決着を着ける

これが物語の本質だ。古今東西の多くの物語は、この三幕構成で整理できる。純文学とかは別として、エンタメ系の物語はほぼ全て三幕構成で整理できるんじゃないかと思う。

それぞれちょっとだけ深掘りする。

第一幕

第一幕の役割を一言でいうと、「面白い物語にするための準備」と表現できる。

そのために世界観の説明をしたりする。具体的には、時代、技術、舞台、政治情勢などなど。説明と言ってもただナレーションで語られても全然面白くないので、何かイベントを起こしてその中で自然と理解できる形だと視聴者側は嬉しい。

また、前述したキャラクターの行動哲学も自然な形で表現するのが第一幕の役割だ。「ああ、こいつはこういう考え方で行動する奴なんだな」って。

ここを押さえていると第二幕以降のキャラの躍動を楽しめる。逆にここを押さえられないとキャラの行動に感情移入できないので全然楽しめない。こいつは一体なんでこんな行動してるんだ?て状態。

その他、物語のゴールを伝えるのも第一幕の重要な役割だ。ターミネーター2でいうと、T1000(敵ターミネーター)から逃げ切ることがゴールとなる。

逃げ切るっていうのがポイント。倒すことが目的ではないからこっちからは攻めていかない。相手のほうが強くて分が悪いしね。だからターミネーター2は基本的には逃避行となる。

逃げ切るというゴールを分かりやすくするために、T1000を倒すというラストになっただけで、たとえば国外に逃げてT1000が絶対に追ってこれないようにするとかでも物語としては一応成立する。面白くないだろうけど。

 

まとめると、「世界観の範囲で、行動哲学に沿った行動を、物語のゴールに向けて進む」ための準備を行うのが第一幕の役割となる。

この役割を果たしたあと、最初の危機に直面して、物語は第二幕へ突入する。

第二幕

第二幕の役割は、「視聴者をハラハラドキドキさせる」というものだ。

そのために、物語のゴールに向けて行動しているキャラたちの前に次々と障害が降りかかる。物語のゴールであるT1000からの逃げ切りを図る一行に対して、大型トラックで追ってきたり、精神病棟まで追ってきたり、ダイソンの会社まで追ってきたり。

ターミネーター2の面白いところって、T1000から逃げることに専念してれば簡単なんだよね。だってT1000にはセンサー機能とかないわけだから。わざわざ聞き込み調査というアナログな方法でジョンの居場所を探してたので間違いない。だから、広い世界の中でたった一体のターミネーターから逃げるのなんて簡単。

ところが肝心のジョンの行動哲学が、自分が生き延びることではなくサラを守ることにある。しかもその理由に説得力がある。だからサラを守るために行動し、その結果T1000に居場所がバレて追われる。でもその流れに感情移入できてしまう。

そんな感じで次々と障害が降りかかりつつ、最大の障害が立ちはだかる。そこで物語は第三幕へ突入する。

第三幕

第三幕の役割は、「物語に決着をつける」というものだ。

決着とはつまり、物語のゴールに達したのか、それとも達せなかったのか。一般的にはゴールに達したらハッピーエンド。達せなかったらバッドエンドということになる。

ターミネーター2で言うと、T1000を運よく倒せたので「T1000から逃げ切る」という物語のゴールを明確に達したことになるので、物語が終われる。

物語のゴールへの決着をうまくつけた物語は余韻が残るし、終わり良ければすべて良しとも言う。三つの幕はいずれも重要だけど、最も重要なのは第三幕だと僕は思っている。

三幕構成で物語を整理するコツ

三幕構成で物語を整理する際のコツは、厳密に三幕構成に当てはめようとしないことだ。細かな部分で三幕構成通りに整理できない部分はたくさんある。

それは当然で、物語の作り手側の全てが厳密に三幕構成を遵守しようとしているわけではない。「だいたいこんな感じ」程度の緩い物語の法則程度に理解しておくのが丁度いい。別に三幕構成なんか守らなくたっていいわけだ。どんな物語にするのも作り手側の自由なので。

三幕構成はどのように生まれたかというと、「多くの名作から共通点を見出してみたら、どうやらどの物語もだいたいこんな感じの構成になってる」という経緯らしい。

つまり、面白い物語を作ろうとしたら無意識のうちにおおよそ三幕構成になっているということだと思う。なのでおおまかに三幕構成に沿っていつつ、細かなところには違いがあるということになる。

まとめ:脚本術を知ると物語をもっと楽しめる

以上、キャラクターとストーリーという区分で脚本術の基礎の基礎を書いてみた。

本記事で書いたことはいずれも、物語を楽しんでいる際に無意識に感じ取っているはずだ。そうでないと物語を楽しく感じられない。

でも、無意識に感じ取っている魅力を脚本術の力を借りて言語化することで、より一層物語を深く味わえるようになる。また、その作品の魅力を人にも伝えやすくなる。

そういった効果があるので、ぜひこの記事で書いた内容を踏まえて物語を楽しんでみてもらえたら嬉しい。

繰り返しだけど、本記事では本当に超ざっくりとしか書いてない。より深堀したい人は以下の本がおすすめ。僕は10冊近く脚本の本を読んだけど、結局この一冊で網羅されてると感じた。ただ読みやすい本ではないので、あくまで深掘りしたい人向けということで。

以上。